過払い金はいくら発生しているのか?事例でわかる過払い金計算の流れ

「過払い金の計算は自分でできる?とりあえず発生しているかどうかだけ知りたいのだけど…」

「提示された過払い金の額が、妥当なのか分からない…。自分でも計算できないだろうか…」

過払い金の請求をお考えの方の中には、弁護士などに問い合わせる前に、自分の過払い金がいくらなのか、とりあえず自分で計算してみたい、と思われる方もいらっしゃると思います。
過払い金の計算は、「引き直し計算」と呼ばれ、不慣れな方が正確に計算することはそう簡単ではありません。ただし、取引履歴を取り寄せることができれば、計算機やエクセルがあれば大まかな金額までは出せます。
そこで本記事では、過払い金の引き直し計算の事例を簡単にご紹介していきたいと思います。
引き直し計算は、個人の借り入れ状況などによって複雑になることも多いので、借入期間が非常に長い場合や、ご自身で借金の状況を整理できていない場合などは、無理せず弁護士などの専門家に相談することを強くお勧めいたします。

 

過払い金を計算する前に、どうして過払い金が発生するのか理解しよう

過払い金が発生する理由は、利息の違い

まずは過払金が発生する仕組みを見ていきましょう。貸金業者からお金を借りると「利息」がつくのは当たり前ですが、この「利息」は貸金業者が好き勝手に決められるわけではありません。きちんと法律によって上限が定められているのです。困っている人の足元を見て、とんでもない利息でお金を貸すようなことは出来ません。この貸金業者の利息を規制している法律は実は2つあります。それは「出資法」と「利息制限法」です。それぞれの法律の細かい説明は長くなるので省きますが、昔はこの2つの法律それぞれで違う上限利率が定められていました。

出資法

・貸している金額に関わらず29.2%が上限利率(年利)
・もしこれを超えた利息で貸した場合は刑事罰

利息制限法

・貸している金額によって15〜20%が上限利率(下表参照)
・もしこれを超えた利息で貸した場合はその契約は無効

借入額利息制限法の上限金利
10万未満20%
10万円~100万円未満18%
100万円以上15%
スクロールできます

2つの法律で利率の違う上限が設けられていたことにより、刑事罰が科せられない程度に高い金利で貸し付けて儲けようとする貸金業者が多く存在していました。利息制限法には違反しているけども、出資法には違反しない、いわゆる「グレーゾーン金利」です。ところが、このような貸金業者のやり方に疑問を持つ弁護士が現れました。これはおかしいぞ、と裁判で闘った結果、最高裁判所でグレーゾーン金利での契約は無効であり、貸金業者は借主が払い過ぎていた利息分を返金しなければならないとの判断が出されたのです。これにより、利息制限法の上限を超えて利息を払っていた方には、貸金業者からお金が返ってくることになりました。以上が「過払い金」が発生した背景です。つまり、当時の違法な金利が設定された契約でお金を借りて、返済を終えた方や、今も返済を続けている方には過払い金が発生している可能性があるのです。

では続いて、これらを踏まえて逆に明らかに過払い金が発生していない場合を説明します。

 

過払い金が100%発生していないケース(計算不要なケース)

上記のように、そもそも利息(利率)が、利息制限法の上限を超えていなかった場合は、過払い金は発生しません。過払い金が発生しないケースは次のような場合です。

銀行や信用金庫との取引

銀行や信用金庫は適法利息しかとっていません。これらとの取引で過払い金が発生することはまずありません。

平成22年(2010年)6月18日以降の取引

グレーゾーン金利を撤廃する改正貸金業法(出資法も一緒に改正されました)が完全施行した平成22年(2010年)6月18日以降は、どの貸金業者も適法な利息しかとっていません。それ以降に初めて開始した取引については、過払い金が発生していません(いわゆるヤミ金などの違法業者は除きます)。

そもそも適法な利息しかとっていなかった業者との取引

かつてはかなり多くの貸金業者(消費者金融のほか、キャッシングのできるクレジットカード会社も含みます)が利息制限法の上限を超えた利息をとっていましたが、一部の業者は適法な利息しかとっていませんでした。そのような貸金業者との取引では過払い金は発生しません。適法利息しかとっていなかった貸金業者の一例として、モビット、アットローン、キャッシュワンなどがあります。

とはいえ、過去の取引に関することですので、いつからの取引だったか、どこの業者だったか、はっきりと思い出せない場合がほとんどだと思います。そんな時は、「過払い金は自分には無い」と判断するのではなく、「あるかもしれないから調査してほしい」と専門家に相談することをお勧めします。お金を取り戻すチャンスを逃すより、無料で調査してくれる弁護士などを利用して調査だけでも行う方が賢明だと思います。

ここからは、実際に過払い金はどう計算すればよいか、事例を交えてご紹介します。

 

事例から過払い金の計算方法を理解する

 

計算時に必要な情報と取得方法

過払い金の計算にあたっては、とてもたくさんの情報が必要です。いついくら借りたか、いついくら返済したか、そのときの契約上の利率はいくらだったか、などが計算するために最低限必要な情報です。これらの情報は、基本的に「取引履歴」と呼ばれる、貸金業者が保管しているデータにすべて記載されています。そして、この取引履歴は、契約者本人や依頼を受けた弁護士から請求があった場合は、保管しているすべてを開示しなければならないと決まっています。取引していた(している)貸金業者から、この取引履歴を取得することが、過払い金請求の第一歩です。
取引履歴が取得できたら、そこに記載されている情報をもとに、上限金利を超えた利息で返済していた分を、適法な利息での返済に計算し直します。これを、引き直し計算と言います。それでは引き直し計算の具体例を見ていきましょう。ここでは分かりやすくするため、とてもシンプルな取引で説明をしたいと思います。実際の貸金業者との取引においては、多くの方々が、何度も借入れと返済を繰り返されているため、もっと複雑な計算となることがほとんどですので、その点はご理解ください。

引き直し計算の事例その1-返済が終了している場合

あなたが、とある貸金業者から100万円を借りて、1年後に120万円にして返すという契約をし、契約通りに完済したとします。20万円が1年分の利息になりますから、年利(1年間の利息の利率)は20万円÷100万円で20%になります。100万円を貸したときの利息制限法の上限利率は15%なので、100万円×15%で、1年で15万円までしか利息をとってはいけないはずです。このため、1年間で5%分、5万円分が違法にとられてしまった、払い過ぎてしまったということになります。よって、この場合の過払い金は5万円です。

ここまでは、借金を完済している場合です。では契約上はまだ借入れが残っている場合はどうでしょうか。こちらでも分かりやすくシンプルな取引で説明をします(複雑な論点は考慮しません)。

引き直し計算の事例その2-借入れが残っている場合

事例その1と同じ契約(ある貸金業者から100万円を借りて、1年後に120万円に返す契約)をし、完済したとします。しかしその翌日、再度同じ条件で借入れ、また同じく完済をしたとします。同じことを合計5回繰り返し、その後20万円だけ追加で借り入れて、その20万円についてはまだ1円も返済していないものとします。契約通りならば、今残っている借入れは20万円です。
事例その1の通り、100万円を貸したときの利息制限法の上限利率は15%なので、100万円×15%で、1年で15万円までしか利息をとってはいけません。1年間で5%分、5万円分が違法にとられてしまった、払い過ぎてしまったということになります。そしてこれを合計5回繰り返していることから、5万円×5回で25万円も払い過ぎているということになります。そして、この払い過ぎたお金は、契約上残っている借入れの返済に充てられます(相殺します)。払い過ぎた25万円の方が、残りの20万円よりも多いので、借入れはなくなり(完済扱い)、さらに5万円の過払い金が戻ってくる計算になります。

繰り返しになりますが、実際の取引はこのようにシンプルなことはほとんどありません。過払い金の調査・計算は無料で行う弁護士も多いので、基本的には専門家に依頼する方が確実・正確です。

 

特に過払い金の計算を弁護士に依頼した方が良いケース

同じ貸金業者で借入れと完済を繰り返している

過払い金の請求には、法律の壁とも言える消滅時効があります。最高裁判所の判例により、取引が終了してから10年が経過すると、過払い金を請求する権利が時効で消滅するとされています。ここでいう取引が終了したときとは、一般的に最後に完済したときを言います。ただし、取引の途中で完済をしていると、まれにその途中完済のときに取引が終了したと判断され、途中完済前に発生していた過払い金が、時効で消滅してしまうことがあります(これを「分断」と呼びます)。
分断となるかは、新しく基本契約を結び直したか、契約書やカードを返却したか、途中完済の前後で金利などの条件が変わっているか、完済から次の借入れまでどの程度期間があいたかなど、多種多様な事情を考慮して判断されます。完済・借入れを繰り返すと、過払い金が実際にいくら発生しているか、弁護士などの専門家でなければ、見通しを立てることが難しくなります。

業者が取引履歴を処分している可能性がある場合

貸金業者は、保管している全取引履歴を開示する義務がありますが、ずいぶん過去の履歴は、すでに処分してしまっていることがあります。この場合でも、過払い金の計算は推定計算で対応するなどの方法がありますが、さすがに専門的知識がなければ難しいでしょう。こういったケースに該当された方は一度弁護士に相談しましょう。

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